日本では労働人口の減少や低い労働生産性などの課題を抱える中で、解決を図る具体策として、定型業務の分析と自動化を図るためにRPA(Robotic Process Automation)の活用が広まってきました。
これまで、既存業務の方法はそのままにソフトウェアロボットとして自動化したり、個人の作業を節約したりなどさまざまな効果を生み出してきました。今後は作業の効率化だけでなく、ビジネス変革に貢献するような活用が想定されています。
RPAを活用して、既存業務のコスト削減を進め、さらにビジネスを変革していきたいとお考えではないでしょうか?
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を国が掲げる中で、いままさにRPAがそうしたビジネス変革を実現するツールとして期待を集めており、実際の導入に向け多くの企業が価格面、機能面の検討を続けています。
この記事では、RPAの中でも世界的に導入企業数を増やしているソリューション「Blue Prism」にフォーカスを当て、その機能や特徴を把握し、競合他社との比較も含めた価格体系について詳しく解説します。RPAへの期待が広がる中で、導入を検討し、製品価格や利用料金を把握した上で、無償体験版などを用いた検討に至るまで、RPA導入の確実なステップを確認することができます。
Blue Prismの価格体系
単純な数字の比較で「高い」と言われることもあるBlue Prismですが、実情は異なります。Blue Prismの価格、料金体系について説明し、さらにライバル製品との比較も交えて分析してみましょう。
Blue Prismの価格体系の大きな特徴は、課金が本番環境のみであることです。そのため、開発時点では価格優位性がなかったとしても、その後の継続的な開発環境の維持、ディザスタリカバリ(DR)環境構築、分散したサーバーの集中管理機能などには課金されず、運用コストは逓減していくのです。
つまり、本番環境の稼働率を高めるなど、ライセンスを大事に使うことによって、長期的な運用コストを抑えることが可能になってくるのです。他社製品の多くは、開発環境ごとに課金されるといった仕組みを取っているため、固定費としてのライセンス費を節約する余地が小さくなってしまっています。
ライバル製品との価格比較
このように、Blue Prismは機能の優位性だけでなく、価格においても他社と比較して魅力的な選択肢であることがわかります。
ライセンス体系他社と比較してみましょう。上記で説明した通り、Blue Prismは本番環境のみ課金される仕組みになっており、同時実行1ロボットの価格はProduction Supportを適用した場合で年間138万円となっています。年間ライセンス価格は、本番環境の最大同時実行数×138万円となり、開発、運用端末、人数、開発およびテスト環境の数にひも付きません。
中央集運用管理、内部統制機能、セキュリティ、ワークキューによる自律的安定稼働、BCP環境の構築などエンタープライズに必須となる運用管理機能にも、追加ライセンスコストはかからないのです。
Blue Prismのライセンス体系
他社製品では実行ライセンスの他に開発するための開発ライセンス、それらのライセンスを管理する管理ライセンスのように、実行ライセンスとは別にライセンスを購入する必要があるものもあります。
そうなると実際に導入、展開をしていく際のトータルコストが逆転してしまうこともあります。
さらに、RPAを販売する企業が提供するサービスも確認しておきたいところです。例えば、当社は独自サービスとして、Blue Prismを当社から購入したユーザーに、複数のRPA製品を一元管理するクラウド型RPA運用管理サービス「Digital Labor Station」を提供しています。
総所有コストを減らすために
Blue Prismには総所有コストを減らすためのさまざまな仕組みがあります。1つは、自動化の成果物であるオブジェクトを再利用しやすく、変更も容易であることです。開発費用を中心に、大幅なコスト低減につながります。
もう1つは、高い稼働率の実現です。Blue Prismでは、1つのデジタルレイバーが複数の業務を実行できます。そのため、部門を越えて24時間365日稼働することも可能になるため、導入が進むほどTCOを削減できます。一方で、デスクトップ型で、手動で起動する形態の場合は、人が介在するために1日のうちに2~3時間の稼働にとどまってしまうことが多いといわれています。
Blue Prismはセキュリティの高さ、監査の容易さ、野良ロボット防止、自律的な実行などの利点も加えることで、TCO削減を積極的に進めることができるのです。
Blue Prismの機能や特徴
自動化がキーワード
Blue Prismの機能を語る上で最大のキーワードになるのが「自動化」です。ITトラブル時の技術者派遣業務などにおいて、技術者の介在が必要なケースだけを分析するプロセスをRPAで構築するといったことも考えられます。問題解決までの時間を短縮することで、顧客満足の大きな改善が期待できます。
また、製造工程における品質管理では、従業員の抜き取り検査と目視だったプロセスを、RPAを使って画像認識と機械学習による全量検査へと切り替えることができます。製造プロセスにおける品質とスピードの向上、プロセスイノベー ションを可能にします。
今後RPAを導入する企業が目指すデジタル変革においても、自動化の果たす役割が大きくなってきます。
デジタル変革を促進
経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」は企業経営者を含めたさまざまな影響を及ぼし、DXに本腰を入れるきっかけになりました。ここでも、RPAの活用が期待されています。
Blue Prismは、現場の生産性向上と革新的なアイデア実現のために、AIなどの最新技術活用の用いることができます。シンプルなライセンス体系はもちろん、ドラック&ドロップでのAI連携、AI研究所やイノベーションセンターの存在などさまざまな仕組みも整備されています。拡張性に優れた設計により、自動化とその先のビジネス拡大を支援します。
2020年12月末にはDXレポート第2弾の中間とりまとめが発表されました。レポートは「コロナ禍以前にあった、人が作業することを前提とした業務プロセスをデジタル化し、かつ顧客起点で見直すことで大幅な生産性向上や新たな価値創造を期待できる。 さらに、それに伴うシステムやデータについても見直しや廃棄へとつなげることによって迅速な DX の実現が可能となる」と指摘しています。さらに、それを実現する手段の1つがRPAであると明言しています。
実際に導入してみるには
ここまでBlue Prismの機能や価格体系について見てきました。実際に導入を検討する企業にとって、取り組みの第一歩となるのが無償評価版の活用でしょう。
こちらにアクセスすれば、RPAの経験の有無にかかわらず、数回クリックするだけでBlue Prismの無償評価版を利用できます。PoC(概念実証)を実施したり、クラウド上でBlue Prismを体験したりなど試験導入することができることに加え、Blue Prismについて学ぶことも可能になっています。導入事例からイメージしよう
実際に、Blue Prismを導入して得た経験を見てみたいところでしょう。例えば、当社はBlue Prismで開発したオブジェクトやテンプレート、サンプルとといったアセットを公開しています。
アセットの中には、日常業務で使えそうなものが多く含まれています。例えば、営業日をロボットに判断させる機能に触れてみましょう。「この業務は基本第3営業日に実施するが、1月と5月は第5営業日」「毎週月曜実施だが、月曜が祝日なら火曜日に実施」といった少し複雑なロジックについても、設定ファイルを読み込むオブジェクトや営業日処理を行うオブジェクトなどを使い、的確に判断できるのです。
Blue Prismの効果的な活用方法
ロボットの効率を高めるには
前述の通り、当社はDigital Labor StationをBlue Prismユーザーに提供しています。当社はRPAユーザーとして増大するロボット管理の煩雑さに直面してきており、数十体規模のRPAロボットを運用担当者が人力で管理することには限界があると感じました。
そこでRPAに特化した管理手法やツールの開発に至ったのです。RPAのユーザーでもある当社が自社の経験から開発したという意味で、期待できるソフトウェアです。このソフトウェアを活用して生産性を高めれば、ロボットの稼働効率はさらに高まり、実質的なコストはさらに低くなります。
ロボット運用管理における「What?」「Where?」からの解放。